買換えで失敗例も多い「③同時進行型」 | 新宿区・千代田区・文京区の不動産のことなら神楽坂上不動産

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不動産コラム

  • 買換えで失敗例も多い「③同時進行型」

    こんにちは。店長の平野です。
    別のコラムで買換えの「買い先行」「売り先行」について書きましたが、ここでは当社ではあまりオススメしていない「同時進行型」の買換えについてご説明致します。

    この「同時進行型」は、「不動産業者が効率よく儲けるために提案することも多い方法(スキーム)で、当人は少し失敗してしまったり、損をしてしまうケースも多い方法」とも言えます。

    勿論、買換えを「同時進行」で進めて、たまたま「良い買換え」になることもありますし、損をせずに住み替えが出来るケースもあるのですが、その場合「たまたま」という「運」が必要だったりします。


    ■「③同時進行」とは?
    買換えの「同時進行型」とは、住み替えを考えている方が、自宅を売却しながら、購入候補の物件も見学に行き、「自宅の売却」と「住み替え先の購入」を同時に進めて、同日で決済(引き渡し)または数日だけ「引越しの猶予期間」を設けてもらって、今のマイホームから次のマイホームに引っ越すという進め方です。


    ■「同時進行型」のメリット
    ・上手くタイミングが合えば、売却・購入・引っ越しが一度に完結し、手続きがラク。無駄が無い。
    ・買い先行のように一定期間「ダブルローン」になる心配が無い。
    ・売り先行のように一定期間の「家賃(仮住まい)」がムダになることもない。

    同時進行型のメリットをあげると上記の3つぐらいです。上手くタイミングが合えば「手間」「ムダ」「ストレス」が省けるというイメージです。勿論当社でもこれまでに「結果として」同時進行で良い買換えをサポートできたケースもありますが、それはやはり「たまたま」というタイミングの幸運があってのことと言えます。ここで皆様にお伝えしたいのは「上記のメリット」を上回る「デメリット・リスク」です。



    ■「同時進行型」のデメリット
    ・先に「良い買い手」が現れた場合、引き渡し期限までに住み替え先を決めなくてはならないので、慌てて購入物件を決めて失敗してしまうリスクがあります。
    ・先に「住換えたい物件」が見つかった場合、その物件はいつまでも待ってくれないので、急いで売るために「安売り」させられてしまうリスクがあります。
    ・自宅売却の条件に「契約から引き渡しまで3カ月」など長めの期間を設けなくてはならないので、ニーズの強い「高く買ってくれる買い手」を逃がしてしまうケースも多いです。

    これが「同時進行型」のデメリットです。
    相場(査定額)より高くても買いたいという「良い買い手」が現れたら、それ自体は喜ばしいことですが、不動産売買で「高く買ってくれる方」は同時に「急いでいる人」である場合も多いので、自宅の引き渡しまでの猶予期間は長くても3カ月ぐらいが一般的です。この3カ月後に間に合うように購入物件に引っ越すとなると、購入物件の「契約から引き渡しまでの期間」を1.5カ月と想定しても、自宅売却の契約から、購入物件の契約までは1.5カ月しか時間がありません。勿論たまたまその時に「丁度良い物件」が見つかる場合もありますが、その物件の引き渡し期日の条件が2カ月だった場合には、この物件は買い換え先候補からは外れてしまいますし、たまたまその1.5カ月の間に「条件に合う物件」が出るかは分かりません。それでも何とか「間に合わせよう」と考えれば「妥協した物件」を選ばざるを得なかったり、「少し割高」と感じても「でも自宅も少し高く売れたし」と思ってしまい、結局「高く売れた分」を「高く買ってしまう分」で帳消しにしてしまう場合も往々にしてあります。

    逆に「ここに引っ越したい!」と感じる「良い住み替え先」が先に見つかった場合、その物件はきっと「魅力のある物件」「少し割安に感じる物件」「条件がピッタリの物件」でしょうから、どうしても手に入れたくなるのが人の心理です。またそういう物件は他の人も魅力を感じ、売れ行きが早いので、2週間も3週間も「物件を抑えて待って貰う」ということは出来ません。(待ってくれる物件は「売れ行きが悪い物件」だけです)そうすると自宅を短期間で売却するために「安く売る」しかなくなってしまうわけです。

    どちらの場合でも、一般的には「購入する物件」か「自宅の売却」かで、損をしてしまったり、慌てて失敗(後悔)してしまうケースに陥りやすいと言え、こういった「経験談」は本当に頻繁に耳にします。



    ■「同時進行」の補足説明
    当社が買換えのサポート(売却と購入)をお任せ頂いたケースでも、結果として「同時進行」になったケースは確かにありますし、売却物件が「都心部」の場合には、売却に苦戦しないので結果として「同時進行」になるケースは増えています。でもこれはあくまでも「結果として」そうなったというだけで、「買い先行」または「売り先行」で住み替え計画を動き始めて、たまたまそのタイミングがあったということに過ぎません。結果「そうなる」のはとても良いことですし、当社もなるべくそうなるように一生懸命サポート(仲介業務)を致しますが、最初から「絶対に同時で進めたい」というのは、本当に失敗しやすいと知っておくと、買換えで後悔なさることはないかと思います。

    上記のような「当人にとってのデメリット・リスク」はあるにも関わらず、世間一般ではこの「同時進行」が当たり前のように思われている節もあります。それは相談を受けた不動産会社の多くがこの「同時進行」をオススメしてきたという歴史(慣習)があるからです。「一度に済ませた方が効率が良い!」「先にローンを借りると売れない場合にリスクである」「売ってから一度賃貸に移るなんて勿体ない」と提案すれば、殆どの人は「それなら同時に出来たら有難い」と感じてしまいます。なぜなら「ラク」「効率的」「リスクがない」ように感じてしまいやすいからです。

    不動産会社が、同時進行をお薦めするのは「良い物件が見つかれば、自宅は多少安くても手放すだろう」「良い買い手がついたら、その時に出ている物件で仕方なく決めてくれるだろう」という考えからです。長年不動産業に従事してきた私の感覚的なものですが、一昔前は9割の不動産業者が。コンプライアンスが確立され始めた昨今でも7割程度の業者は、そういう狙いを持って「同時進行で進めてみましょう」と提案しているように感じます。

    余談ですが、この買換えに関する「業者の悪意」は最近、私が面白くて読んでいる「正直不動産」という漫画の中にも出てきたお話です。

    漫画の主人公は元々「昔ながらのちょっと悪質なテクニック」も使い、売上を上げまくる営業マンでしたが、ある日突然「嘘を付けない体質(病気?)」に。それからというもの、会社の利益が少なくなるような「正直な説明」や、同僚からは恨まれてしまうような「裏話の暴露」ばかりしてしまうのですが、結果として、それが功を奏したり、お客さんから信頼を勝ち取ったりして、結果会社にとっても顧客にとっても「良い取引になった」というそんなストーリーの漫画です。原作者の方は本当に不動産業界に精通した人だといつも感心しています。とても面白い漫画です。

    ある案件で、お得意様の地主の息子さんが「買い換え相談」に。その息子さんに住み替え先物件を案内すると、とても気に入り「どうしてもここに決めたい!」という意向でしたが、まだ売却の買い手はついていない状況。主人公は「おそらく売れるだろうが100%ではない」と判断し、その物件を決めてしまう(契約してしまう)ことにはリスクがあると説明。ところがその息子さんは機嫌を損ねてしまい、別の不動産会社に相談に行ってしまうのですが、これが「悪徳不動産会社」でした。結果「気に入った物件」を先に契約してしまい、期日までに自宅を売らなければならない状態に追い込まれて、査定額よりもかなり安い金額で売らされてしまうハメに。それに気づいた主人公が上手く立ち回り、大きな損失は回避できたという話なのですが、ここに書かれた題材はまさに「買い換えの同時進行」で顧客が大きな損をさせられてしまう例でした。この事例でも「買換え専用ローン」を使っていれば、そこまで追い込まれることはなかったと言えます。

    このように不動産業界に(かなり?)詳しい原作者が題材にあげるぐらいですから、やはりケースとしては少なくないと言えますし、私も「同時進行」で失敗したという実例はよく耳にします。

    結果として、たまたま「同時決済(同時進行)」で買い換えが上手くいくことはとても良いことですが、最初から「その計画」に固執すると、取り返しのつかない失敗(後悔)をしてしまうこともありますので、十分に注意が必要です。

    以上、3回に分けて買換えの「①買い先行」「②売り先行」「③同時進行」について書きましたが、稚拙な文章のため分かりにくい点などがありましたら、是非お気軽にメールやお電話でお問い合わせください。

    当社は漫画の「正直不動産」の主人公のような不動産業者でありたいと思い、日々、不動産仲介業務に取り組んでいます。会社の利益(ゼロは嫌ですが・・)や、業務の手間などを優先せず、お客様の利益と笑顔を一番に考えたご説明、ご提案、サポート業務をご提供させて頂きます!


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